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構造解析とは?目的や構造解析を行う手順、種類、活用事例を解説

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製品開発の設計において、構造解析を設計の各フェーズで実施することで、品質の向上や開発の工程削減や工期短縮、コストの削減といったさまざまなメリットが得られます。
今回の記事では、構造解析の概要と構造解析の目的や種類、流れ、おもな構造解析が導入されている分野での活用事例を解説します。

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目次

構造解析とは?目的と手順

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構造解析の概要と、構造解析を行う目的を解説します。

構造解析とは

構造解析(Structure Analysis)とは、有限要素法などを活用し、解析対象を小さな要素に分けて、計算により各要素に働く応力を求める解析手法です。
近年ではCAE(computer aided engineering)の機能のひとつに構造解析が搭載されていることも多く、複雑な形状や大規模な構造でも、応力やひずみなどの計算が実現できるようになりました。

構造解析を行う目的

構造解析は以下のような目的で行います。

破壊試験なしで安全性を評価する破壊試験を行わなくても設計物の破損・破壊可能性を予測できるため、安全性の評価に役立ちます。
複雑な計算と解析を行えるシミュレーションソフトウェアを活用することで、人の思考では限界のある複雑な計算や解析を実行できます。しかも手計算よりも簡単に計算結果と解析結果が算出できるのも特徴です。
計算結果の可視化シミュレーションソフトウェアでは、3Dデータによる計算結果の可視化が可能です。そのため、品質向上開発期間短縮コストダウンなどの効果が得られるでしょう。
実験が困難な場面の構造評価シミュレーションソフトウェア上での評価のため、人が生身で立ち入ることができない場面や、実験が難しい場合などでも構造評価が可能です。たとえば原子炉や宇宙空間を想定した構造評価も実現できます。

構造解析の手順

構造解析は以下の手順で行われます。

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まずは3次元図形を3DCADで作成します。このとき、細かく作成するとメッシュの生成段階でエラーが出ることがあります。メッシュ生成でエラーが発生した部分は、モデル作成時に、設計で作成されたデータを変更して抑制する等の処置を行います。
3次元図形を解析ソフトにインポートしたらメッシュを作成しますが、メッシュは荒いものから開始して少しずつ細かくしていくことがポイントです。
メッシュのサイズや条件によって結果が変わってくるため、それらを変えながら何度も解析する必要があります。

【参考記事】以下の記事では流体解析について解説しています。

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構造解析の分類と種類

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構造解析にはさまざまな手法があります。おもな構造解析の分類・種類を順に解説します。

線形構造解析と非線形構造解析

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線形構造解析

線形とは、「物体にかかる荷重と変位(変形量)の関係が比例である」ということを指します。線形構造解析とは、変形や応力がどのくらい起こるのかを計算し、予想可能な範囲で数値化する手法です。

非線形構造解析

線形に対して非線形とは、「構造物や物体にかかる荷重と変位(変形量)が比例関係にはならない」ということです。グラフで表示すると、構造物や物体にかかる荷重と変位を表す線形は、緩やかに曲がりつつ右に上がる、波打つなどさまざまな形になるのが特徴です。そのため、非線形は線形解析よりも複雑な計算が求められます。

非線形構造解析は、さらに「材料非線形」「大変形解析(幾何学的非線形)」「非線形接触」の3つに分類できます。

材料非線形

材料非線形とは、応力とひずみの関係が線形でない材料のことです。線形解析の範囲では、応力は材料の降伏点に到達するまで荷重と比例関係にあり、荷重を取り除けば元の形状に戻る性質を持っています。一方、応力が降伏点を越えると塑性状態になり、荷重を取り除いても形状は完全には元へ戻りません。この現象は非線形となり、弾塑性材料、超弾性材料、クリープ変形材料を扱う問題として発生します。

大変形解析(幾何学的非線形)

大変形解析(幾何学的非線形)とは、目視で確認できるような大きな変形や回転をする現象のことです。変形が小さくても剛性変化が大きければ、幾何学的非線形に該当します。

非線形接触

非線形接触は、部品間の境界で荷重と変形の関係が非線形になる状態のことです。この問題を解くためには、すべりや摩擦を考慮した接触や分離の接触条件が求められます。

静解析と動解析

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静解析とは

静解析とは、時間経過による荷重の変化を考慮しない解析手法です。時間に依存せず、かつ静的に生じる変位や応力、ひずみを計算で得られます。重力など、荷重や制約から生じる結果も計算可能です。非線形な解析では、接触摩擦や材料の塑性・超弾性挙動なども考慮できます。

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静解析のイメージ

静解析の結果によって、故障などのリスクがあるような高応力状態が発生するかどうかの評価に役立ちます。

静解析には、応力解析が当てはまります。
応力とは、単位面積あたりにかかる外力(荷重)に対応する内力を指します。構造物や物体の強度を表現した指標のひとつです。
応力解析は、応力の数値や力の分布を明確にすることで強度を評価する手法です。

動解析とは

動解析とは、時間経過にともなう荷重の変化を考慮した解析手法です。慣性の効果も考慮されています。解析の結果、エンジニアは単一のタイムステップとともに、時間によって変動する動的性能も解析できます。

動解析のひとつに、固有値解析(固有振動解析)があります。
固有解析は、構造物や物体が持つ振動数(固有振動数)を計算し、そのうえで定量的な評価や分析を行う手法です。周波数応答解析では、定常的な周期的(正弦波)荷重によって励起される構造体の応答を算出します。

構造解析の活用事例

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構造解析が多く活用されている分野や製品の事例を紹介します。

自動車

以下の自動車設計の面で構造解析が用いられています。

・自動車の車両のボディ
・エンジン
・シャーシ
・エアコン
・ECUなどのエレクトロニクスコンポーネント

自動車は製品欠陥によって重大な事故につながるリスクがあります。強度や安全性について慎重に評価する必要がある一方、実機での実験にはコストや時間などの大きな負担がかかります。
そこで構造解析を活用することで、製品の正確な安全評価が実現できるとともに、コストダウンや開発期間短縮が期待できます。

金属加工

金属加工では、塑性加工やプレス加工の成形性や加工後の形状を予測するために、構造解析が用いられます。
板金を曲げるときには大きな荷重をかける必要がありますが、材料の破損や強度の損失といったリスクもあります。金属加工はベテランの職人の勘や経験で培ったノウハウなどが活かされてきましたが、若手への技能伝承などの観点で構造解析の活用が有力視されています。

ゴム製品

ゴム材料は柔軟性が高く、荷重をかけると大きく変形する特徴があります。さらに緩衝材やパッキンとしても多く活用されるため、製品化の際には変形や物体との接触が伴います。
荷重をかけたときの変形や応力の推移は非線形となるため、計算の難易度は高いです。そこで非線形構造解析ソフトウェアを活用することで、ゴム材料の特性に適した構成則(解析モデル)を使った、複雑な計算を実現しています。

まとめ

構造解析について、構造解析の種類や目的、実行の手順と導入されているおもな分野について解説しました。構造解析は、製品の破壊・破損可能性も、コンピュータ上で予測できるようになり、さまざまな分野での応用が期待できます。

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