AGVとAMRは両方とも搬送システムを自動化するシステムですが、AGVは「車両」、AMRは「ロボット」と大きな違いがあります。
この記事ではAGVとAMRについてそれぞれ解説し、それらの違いやメリット、導入例などを紹介します。
AGV・AMRの導入を検討の際は、ぜひテクノプロ・デザイン社にご相談ください。全国30箇所以上の拠点から、解決したい課題や目的に応じて迅速・的確なソリューションを提供します。
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AGV(無人搬送車)と AMR(自律走行搬送ロボット)
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AGV(無人搬送車)とAMR(自律走行搬送ロボット)は、近年の産業界で注目を集める自動搬送システムの二大技術です。
ここではAGVとAMRについての基本と、それらの違いを解説します。
AGV・AMRとは?
AGV(Automated Guided Vehicle)は、無人で物品を搬送する車両で、工場や倉庫で使用されます。
主に磁気テープや光学ラインを利用し、設定されたルートを正確に走行することで、効率的な搬送が可能です。
AGVの中でも、SLAMによるセンサーやマッピング技術を活用することで固定されたルートを必要とせずに自律走行できる搬送ロボットを、特に「AMR(Autonomous Mobile Robot)」と呼んでいます。
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AMRは、AIアルゴリズムにより環境を学習し、センサーと連携して作業エリアの安全性を確保し、人間との共存が可能なシステムを構築しています。
SLAM技術については以下の記事で詳しく解説しています。
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また、AGVとAMRの詳細については、2章と3章で解説します。
AGVとAMRの違い
AGVとAMR違いは以下の通りです。
AGV | AMR | |
特徴 | ![]() ・固定ルート ・磁気テープや誘導線などの物理的ガイドが必要 ・安定性が高い ・障害物の柔軟な回避はできないため停止 ・ルートの変更が必要な場合、ガイドを再設置する | ![]() ・センサーやカメラを使用し、最適なルートを自律的に選択 ・障害物を回避しながら動的な環境で柔軟な走行が可能 |
向いている環境 | ・繰り返しの多い固定された作業に向く | ・変化の多い作業現場や混雑した環境に適している ・レイアウト変更やルート変更にも柔軟に対応可能 |
コストと導入要件 | ・初期導入時にガイド設置やルート設定が必要なため、それに伴う初期費用が発生 ・構造がシンプルであるため長期的な運用コストを抑えられる | ・導入時の環境地図作成や設定に時間が必要 ・固定インフラを必要とせず、運用開始後の柔軟性の高さからトータルコストの削減が期待できる |
AGV(無人搬送車)とは?特徴と搬送方法、走行方式
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AGV(無人搬送車)は、物理的なガイドを設置し、特定のルートや方法に従って物品を自動で搬送する車両です。
AGVがどのように物品を搬送し、どのような走行方式を採用しているか、その概要を説明します。
搬送方法
AGVの主な種類には「台車型」「牽引型」「低床型」があります。
以下で詳しく解説します。
台車型
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台車型は平らな荷物を運ぶシンプルな設計が特徴で、軽量物や小型物品の搬送に適しています。
小型で狭い通路でもスムーズに搬送でき、施設内スペースを有効に活用することが可能です。
牽引型
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牽引型は、複数のトレーラーや台車を牽引して大量の荷物を効率的に運搬する形式で、自動車部品や機械部品など重量物を扱う工場で広く活用されています。
一度に複数の荷物を運ぶことで作業効率が大幅に向上し、柔軟なレイアウト変更や追加が可能です。
牽引型は長距離搬送にも適し、大規模施設での使用に特化しています。
また、センサーや自動停止機能を搭載して安全性を確保し、労働環境の改善や生産性向上に貢献しています。
さらに、多様なサイズ・形状に対応可能で、特注品や複雑な形状の部品や荷物にも柔軟に対応可能です。
低床型
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低床型は地面に近い位置で荷物を持ち上げられる設計で、重い荷物やパレットの搬送に適しています。
加えて搬送能力が高く、物流センターや製造ラインで活用されています。
低床型は工場や倉庫でフォークリフトの代替として使用され、高さ制限のある狭いスペースでもスムーズに搬送が可能です。
最近では、AIやIoT技術により、リアルタイムの経路最適化や環境変化への対応も可能になり、作業の柔軟性が向上しています。
AGVの走行方式
AGVの走行方式にはさまざまな種類があり、それぞれが異なる環境やニーズに適応するための特長を持っています。走行方式は、導入コスト、設置のしやすさ、柔軟性、安全性といった要素を基に選択されるのが一般的です。
AGVには主に以下の4種類の走行方式があります。
磁気誘導・ライントレース式 | 磁気テープや光学ラインを床面に配置し、それに沿って走行 |
ランドマーク式 | 特定のポイント(ランドマーク)を基準にして走行 |
SLAM式 | SLAMをAGVに適用し、自律的に走行 |
ハイブリッド式 | 磁気誘導とSLAMを併用し、高度な搬送システムを構築 |
以下で詳しく解説します。
磁気誘導・ライントレース式
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磁気テープや光学ラインを床面に配置し、それに沿って走行する方式は、シンプルで導入コストが低い点が特徴です。
限られた予算で自動化を進める中小企業や、技術導入に慎重な工場環境で採用されています。
また、磁気テープや光学ラインが明確な目印となり、車両が確実にルートをトレースするため、誤動作や逸脱のリスクが低く、安定性に優れています。
一方で、量産工場など固定的な作業工程には適しているものの、急なレイアウト変更や障害物増加への対応が難しく、柔軟性の面では高度な技術に及びません。
それでも、低コストで安定性を確保できる点は、大きな魅力といえるでしょう。
ランドマーク式
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特定のポイント(ランドマーク)を基準にして走行する方式です。
ランドマーク式は、物理的な目印や人工的に設置されたタグ、デジタル信号などを活用し、車両が自らの位置を正確に把握しながらルートに従って動作します。
ランドマーク式は比較的自由度が高く、柔軟な運用が可能で、従来の固定ルート方式よりも複雑なルート設定や新たなタスクの追加などの変更に強いという特徴があり、特に物流センターや工場内の動的な環境で有効です。
SLAM式
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SLAMとは、Simultaneous Localization and Mappingの略です。移動体が自己位置推定と環境地図作成を同時に行い、自律走行を可能にする技術です。
SLAMをAGVに適用することで、物理的なガイドや目印が不要で、複雑なレイアウトや変化する環境でも自律的に走行することが可能になります。
さらに、自己学習能力により効率と精度を向上させ、AIやクラウド技術との連携で複数ロボット間の情報共有も実現します。
SLAM式AGVは、特に「AMR(自律走行搬送ロボット)」と呼ばれています。
AMRについては3章で詳しく解説します。
走行方式を組み合わせたハイブリッド式
複数の走行方式を組み合わせたハイブリッド式では、磁気誘導とSLAMを併用することで単一の方式では実現できない高度な搬送システムが構築できます。
たとえば主要ルートを磁気誘導で確保しつつ、SLAMで障害物や環境変化に対応する仕組みを採用すれば、安定性と柔軟性の両立から運用効率や信頼性の向上が期待できます。
また、ハイブリッド式なら既存設備との統合が容易で、新規導入時のコストや調整負担を軽減できる点も魅力です。
ハイブリッド式は、自動搬送システムの次世代標準として注目され、その高い適応性と効率性から多くの業界での需要が期待されています。
AGVの導入例
AGVは、自動車工場や食品工場、物流倉庫など、多様な分野で活用されています。
自動車工場では、組み立てラインでエンジン部品やシャーシの搬送に使用され、作業員の負担軽減と生産ラインの効率化を実現します。AGVの正確で安定した動作は、大量生産が求められる自動車業界において欠かせない存在です。
食品工場では、パレット積み製品を倉庫まで運ぶ用途に用いられ、無人運搬による衛生基準の確保や冷凍食品の品質保持に採用されています。
物流倉庫では、在庫品をピッキングエリアまで運ぶ自動化タスクを担い、作業員の負担を軽減し、業務効率化を実現しています。長時間の連続運転が可能なため、大規模施設でも安定した運用が可能です。
また、以下のようなシステムとAGVが連携することで、さらなる生産性の向上が期待できます。
倉庫管理システム(WMS)との連携 | 在庫状況や配送スケジュールをリアルタイムで更新し、物流効率の向上に貢献 |
自動ピッキングシステムとの連携 | 倉庫内作業が自動化され、作業負担の減少やミスの削減に貢献 |
たとえばEC業界では、これらのシステムの統合による効率的な物流モデルが注目され、人手不足の解消策として期待されています。
AGVやAMRの導入を検討する際には、種類や他のシステムとの連携を考慮することが重要です。テクノプロ・デザイン社は、経験豊富な7000人のエンジニアが全国30か所以上の拠点から迅速かつ的確に支援いたします。ぜひご相談ください。
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AMRとは?走行方式やメリット
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AMR(自律走行搬送ロボット)は、物流や製造業をはじめとするさまざまな分野で注目される搬送技術です。
AMRはAGVにSLAM技術を活用したロボットで、周囲の環境をリアルタイムで認識しながら自律的に最適な経路を選択して移動します。
ここではAMRの走行方式やメリット、導入例を説明します。
AMRの走行方式
AMRは、AGVにSLAM技術を活用したもので、「自律走行搬送ロボット」と呼ばれています。
SLAMとは、センサーによって周辺にある物体の特徴点を点群データとして取得し3次元地図をリアルタイムに作成する技術です。移動しながら自己位置の推定と環境地図の作成を行うことで、AMRは誘導体なしのガイドレス運搬が可能となります。
AGVは車両として位置づけられているのに対して、自らの判断が可能なAMRは「ロボット」と位置付けられています。
突発的な環境の変化にも柔軟に対応し、センサーやカメラと通信することで他の作業ロボットや人間との衝突リスクを最小限におさえ、複雑な作業環境や動的な現場でも高い安全性を保ちながら運用できます。
また、SLAM式はGPSではなくセンサーによって自己位置推定と環境地図作成を行うため、GPSの届かない場所にも導入できる、という特徴もあります。
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SLAMとAGVについては以下の記事で詳しく解説しています。
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AGVと比較したAMRのメリット
AGVと比較したAMRのメリットは以下の通りです。
柔軟性
固定ルートが不要で、環境の変化にも対応可能です。
レイアウト変更が頻繁に行われる施設や、多様な作業環境においても適応力を発揮します。
また、複雑なレイアウトや狭い通路でもスムーズに運用できることも特徴です。
効率性
最適なルートをリアルタイムで選択し、搬送時間を短縮します。
AIによるルート計算アルゴリズムと組み合わせることで、さらに効率的な搬送を実現します。
急な搬送タスクにも柔軟に対応できることも大きな利点です。
コスト運用
事前に固定ルートを設定する必要がないため、設置期間の短縮や費用削減につながります。
さらに、システムの拡張が容易で、必要に応じて新しい機能を追加することも可能です。
安全性
衝突回避システムや周囲の動きを検知する機能により、事故のリスクを軽減します。
高度なセンサー技術と連携した安全システムにより、人間との共存環境においても高い信頼性を実現しています。
AMRの導入例
AMRは、頻繁にレイアウトが変更される倉庫や、多様な物品を効率的に搬送する必要がある環境、複雑なルートをたどる環境などで活用されています。
たとえば物流センターでは、AIを活用した最適ルート選択により、ピッキングや仕分け作業を支援し、作業者の負担軽減につながっています。
製造業では、生産ラインで部品供給を担い、リアルタイム認識技術を活用して遅延を最小限におさえています。
また、医療機関では薬剤や検体を正確かつ迅速に搬送できる仕組みを構築することで、感染リスクの軽減や医療従事者の負担削減が可能です。特に、新型感染症が流行した際には、その効果が高く評価されました。
病院内の複数階層間における複雑なルートでも、エレベーター連携や階段回避などを駆使して搬送することも可能です。
まとめ
AGVとAMRはともに搬送を自動化するシステムですが、AMRはSLAM技術を活用することで自ら判断して走行する「ロボット」であることが、AGVとの大きな違いです。
今後も人手不足や人件費などの問題から、AGVやAMRの導入は進んでいくでしょう。
AGV・AMRの導入を検討の際は、ぜひテクノプロ・デザイン社にご相談ください。全国30箇所以上の拠点から、解決したい課題や目的に応じて迅速・的確なソリューションを提供します。
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